地蔵岩を超えたあたりから風が急激に強くなった。
中道は展望の開けているルートであることは承知していたが、地蔵岩あたりから山頂まで稜線沿いに登っていくため、風の影響を受けやすいと思われる。
御在所岳登山のハイライトの一つが地蔵岩だとすると、2つ目のハイライトは地蔵岩の直後に待ち受けている名物のキレットである。ここでは30メートルほどの切り立った岩場を降りていかなければならない。鎖があるとはいえ、足の踏み場所を慎重に選びながらでないと危険である。
ただでさえ怖い上に、風が吹き荒れていて、風に煽られないようビビりながらようやく降りることができた。
|
キレットは高度感があって怖い |
|
キレット直後の尾根のザレ場 |
キレットを降りてすぐに尾根のザレ場があり、尾根の左右どちらも相当な高さの崖となっている。万一滑り落ちると完全にアウトだが、ここでも強風が吹いていたため、わずかな距離だが向かい側に行くのを躊躇ってしまった。風が一時的に弱まったタイミングを見計らってようやく渡ることが出来た。
|
キレットを振り返ると改めて高さを感じる |
その後も風は弱まる様子もなく、どうしようかと悩みながら登っていった。
7合目まで来たときに、その先は吹きっさらしの道になっているようだったので、リスクを考えて強風が収まるまで一時待機をしてみることにした。
|
7合目で強風のため一時待機 |
ゴウゴウという風の音に怯えながら、かりに登山を断念し引き返すにしても強風のなかで、再び尾根のザレ場とキレットをクリアできる自信もなく、内心「この状況は詰んでいるのではないか?」という気持ちで不安で一杯であった。ちなみに、この時点で登山客には1人も遭遇していない。
地図を見るとこの先に注意箇所があるものの、山頂までは残りわずかであり、下りは裏道で下れば危険は少ないと考えられるため、引き返すよりは進むしか無いと判断し、あとは風が少しでも収まるのを待つのみだった。
1時間ほど待機していると少し風が弱まってきたので、この好機を逃さないよう、一気に登ることにしたのだが、それが甘い考えであったことに気付かされた。