雨上がり登山

2日間降り続けた雨が、仕事の休日の明け方にようやく止んだことから、思い切って登山に出かけることにした。

登山ルートとして選択したのは、阪急御影駅から住吉道に入り、西おたふく山経由で六甲最高峰を目指す計画だった。御影駅から市街地を住吉川沿いに登っていくと、住吉川の水量もそれほど大くなく、これなら問題なさそうだと勝手に判断していたが、後ほど誤りだったことに気づかされた。

住吉道の登山ルートに入ると、思った以上に歩きやすい道で、雨上がりのジメっとした空気も清涼感があり、ハイカーも誰もいないことから気持ちのいいハイキングのスタートだった。が、五助ダムを過ぎると登山道の様子が一変した。

地面には雨が染み出して流れている箇所が至る所にあり、砂と泥に足が滑ることが何度もあって初心者には厳しい状況だった。
西おたふく山への分岐まで到達すると、沢を超えられるルートのはずだったが、沢を渡るための石の上まで増水しており、強引に渡ろうとしても足を取られて流されてしまう可能性があった。

裸足になって渡れそうな場所を探すかどうか一瞬悩んだが、無理は禁物とあきらめ、そのまま住吉道を登っていくことにした。
その後の住吉道は大げさに言えば小川状態で、とにかく水の少ない足場を確保しながら登りつづけるしかなかった。住吉道の終点となる本庄橋跡に到達するのに計画より随分と遅れてしまい、疲れも相当高まっている状態だった。

そこから七曲がりを登っていくと、頂上手前で雲の層に入ったことで、白く静寂な世界が広がっており、霧のために体が冷えてきたことから、あわててライトシェルパーカを着込み冷えと濡れから体を守ることにした。

ヘロヘロになりながら有馬温泉まで降りてきて温泉に入って一息つくと、緊張がやっとやわらぎ、 ほっとしつつも疲れきった体には冷えたビールが信じられない美味しさで、次こそは天気のいいときに再チャレンジしてみようと思った。

今回の教訓は、雨という自然がもたらした山の変化は、街中とはまったく違う影響を及ぼすということで、初心者は登山をさけるべきという当たり前な結論である。